あらすじ

障害等級1級の難病「筋強直性ジストロフィー」を患う著者は、呼吸不全の恐怖や数多の合併症と戦いながら、車やタバコなど多くの楽しみを諦めて生きてきた。かつて自死を遂げた芥川龍之介の小説を手に取り、自身の絶望と比べながらも「屈しない」という奇怪な自信を胸に秘めていた。 ある日、不登校の息子と久々に打ち解けた会話を交わした日の夜、著者を強烈な胸の痛みが襲う。熱い湯船で邪気を払おうとするも意識が遠のき、救急車で病院へ搬送される。測定された心拍数は危険水域の200を超えていた。筋肉の破壊を伴うため運動厳禁である著者は、予期せぬ形で極限の脈拍を疑似体験し、歪んだ喜びと絶望を同時に覚える。 診断は心臓の不整脈。集中治療室(ICU)に収容された著者は、身体の腐敗により退職し社会から離脱した解放感を感じつつ、新たな死の恐怖に対峙する。皮膚がただれる点滴の副作用や、手首からのカテーテル検査による激痛を乗り越え、著者は不整脈の原因箇所を焼き切る「アブレーション手術」を受けることになる。 約5〜6時間に及ぶ手術中、激痛と眠気に抗いながら医師たちのやり取りを見守り、無事に焼灼処理は完了した。術後は倦怠感と酷い胸の痛みに苛まれ、医師の「成功」という言葉にも冷ややかな視線を向けつつも、主治医から狙い通り焼き切ったことを告げられる。 通院する診療科は増え、車椅子の調達も迫られるが、著者は社会との繋がりを「ノイズ」と切り捨て、医師と家族だけに見守られて死に向かう生き方を選択する。芥川龍之介のような最期は選ばず、短くなった生命線を自らの意志で完結させようと静かに覚悟を決めるのだった。

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小説を読もう2026/08/20
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