あらすじ
仕事帰り、豪雨の駐車場で雷に撃たれて死んだ菅田健介(32歳)。気がつけば、彼は異世界の赤ん坊として転生していた。
しかも、その体に宿っていたのは、彼が十年かけて育て上げたMMORPGのメインキャラクター「アレン」――武器を持たず、装備も捨て、AGI(敏捷)に全振りした、効率度外視の浪漫の塊。
目の前に浮かぶ見慣れたステータス画面。だが、そこに並ぶ圧倒的な数値は、なぜか「封印中」の文字とともにグレーアウトしていた。
人付き合いは苦手じゃないが、深く執着もしない。スナフキン気質の自由人だった健介は、赤ん坊の不自由さすら「まあ、こんなこともあるさ」と受け入れ、ゆるりと異世界生活を始める。
目指すのは、世界の頂点でも、王座でもない。ただ、自由に、気ままに生きること。
やがて彼は知ることになる――この世界のどこかに、かつて彼が同じように育て上げた「浪漫の結晶」たち、十五人の自作キャラクターが、それぞれの人生を歩んでいることを。
「よお、元気?」
転生した彼らとの再会は、彼にとってはただの「ついで」でしかない。だが、圧倒的な力を隠し持つ元プレイヤーの介入は、この世界の均衡を静かに、しかし確実に揺らし始める。
これは、最強を目指さない転生者が、自分のペースで世界を謳歌する物語。
封印されたステータス、そしてスマホが最後に残した一文「Enjoy your Freedom」に込められた意味とは――。