あらすじ
花火の夜、I沼の上空に「花火ではない光」を見た人間が、確かに何人もいた。
だが、その夜の記録を探してみると、不自然なほど何も残っていない。
唯一見つかった、ある新聞記者の短い証言。
そこには――「私は、あれを飛行機とは思わなかった」とだけ書かれていた。
なぜ、この出来事だけが消えているのか。
そして、あの夜、I沼の空でいったい何が起きたのか。
残された記録を辿るほど、知らなくていいことに近づいていく。
この文章を読んでくださる方へ。
最初に、いくつかお断りしておきたいことがあります。
私は、文章を書くことを仕事にしている人間ではありません。小説を書いた経験もほとんどありません。ですから、これから書くことを「小説」と呼んでいいのか、自分でもよく分かっていません。
ただ、どうしても残しておきたいと思いました。
ここに書くのは、私が幼少の頃に実際に経験した事と、その後になって知ったことを、できるだけ自分の記憶に忠実に並べたものです。
記憶違いがあるかもしれません。
年月が経っているため、場所や会話の細部について、私の記憶が変わってしまっている可能性もあります。
それでも、私の中では妙に鮮明に残っていることがあります。