あらすじ
神魔大戦の日、私は婚約者の月城朔夜(つきしろ・さくや)を庇い、魔神の致命的な一撃を受けた。
魂は砕け、肉体も崩壊寸前まで傷ついた。私はそのまま二十年もの眠りにつき、ようやく肉体へ戻ったときにも、霊脈と魂は完全には治っていなかった。
療養のため再び仙殿に籠もることになった私は、仙盟の日常的な仕事を朔夜に任せ、その補佐を彼が最も信頼していた弟子――白峰真白(しらみね・ましろ)に任せた。
ところが、私が再び人前に姿を現したころには、真白はすでに一部の長老たちを味方につけ、仙盟の実権を握り始めていた。
そして私と朔夜の「契りの儀」の当日。
真白は大勢の前で、堂々と私の地位を奪おうとした。
「雪華様のお力は、今や全盛期の一割にも満たないでしょう。これ以上、仙盟の守護者である仙尊の地位に留まるのは難しいかと存じます」
長老たちが騒ぎ始めるより先に、朔夜が真白の隣へ歩いていった。
「俺と雪華の婚約も、今日で終わりにしよう」
彼は迷いなく告げた。
「俺が本当に愛しているのは、ずっと真白だった」
そして、まるで慈悲でも与えるような目で私を見る。
「真白を正妻として受け入れられるなら、お前も俺のそばに置いてやっていい」
広間にどよめきが広がった。
私は思わず笑った。
そう。
それなら、それでいい。
彼がもう選んだのなら、私も彼に預けていたものを返してもらうだけだ。
今の朔夜が私を見下ろせるほどの力を持っているのは、その大半が私の神力だから。
そして彼は、もう一つ知らない。
なぜ白峰真白が、時折あれほど私に似て見えたのか。
私の主魂はかつて、二十年もの間、彼女の中に宿っていた。