あらすじ

二十九歳、独身、会社員。 蓮池楓は、人を喰う『呪い』と暮らしている。 黒い虫の集合体のような姿をしたソイツは、夜中にクチャクチャとうるさいし、風呂場までついてくるし、タバコを吸えば臭いと文句を言う。 そして時々、楓にこう尋ねる。 「かえでぇ、たべていいぃ?」 そんな化け物との生活にも、楓はすっかり慣れていた。 むしろ彼女を苦しめているのは、呪いではない。 連日の残業。 「無能」が口癖の上司。 愛嬌が取り柄の同僚。 何度断っても誘ってくる後輩。 そして、今も夢に見る青春時代の記憶。 嫌でも笑って、嫌でも謝って、嫌でも我慢する。 そんな楓とは対照的に、人を喰う化け物は妙に素直だった。 「覗くな」と言えば覗かない。 「静かにして」と言えば静かにする。 「食べちゃだめ」と言えば――食べない。 少なくとも、今のところは。 そんなある日、楓の暮らす街で奇妙な変死体が相次いで発見される。 これは、人を喰う『呪い』と、少しずつ壊れていく女の物語。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/08/20
  • 現在の作品呪躰─じゅたい─