あらすじ
17歳の夏休み、神谷望桜は家族と鹿児島を訪れる。
知覧特攻平和会館で、望桜は一枚の写真に目を奪われる。
そこに写っていたのは、十八歳の青年・桐生誠司。
初めて見るはずの青年なのに、なぜか懐かしい。
「知らない人なのに、知ってる……」
胸に込み上げる愛おしさと悲しみに、望桜は涙を流す。
さらに、誠司が出撃前に家族へ残した手紙を読んだ瞬間、望桜の中に強い感情が溢れ出す。帰ってきて。
家族と離れたくない。
死ぬのが怖い。
それでも行かなければならない。
そして誠司は、幼い桜子に懐中時計を渡し、
「いつか桜子が大きくなったら、にいにいに返してくれ」
と約束する。
翌朝、どうしても気になった望桜は、母とともに再び知覧特攻平和会館へ向かう。
神は告げる。
「あの青年は、お前の大切な家族だった」
望桜は、自分がかつて誠司の妹・桜子として生きていたことを知る。
そして神から、二つの人生を選ぶよう迫られる。
令和の17歳、神谷望桜として生き続けるのか。
それとも――
昭和の三歳の少女、桜子として、もう一度あの家族のもとへ戻るのか。
望桜が選んだのは、過去だった。
「桜子になる」
「今度は、お兄ちゃんを一人にしない」
こうして、令和に生まれた少女・望桜は、昭和の戦争時代へ転生する。
三歳の桜子として生まれ変わった彼女には、神から二つの力が与えられていた。
人の心を感じ取る力。
そして――
まだ決まっていない未来を見る力。
しかし、誠司が特攻隊へ志願する未来は、すでに動き始めていた。
父・恒一は軍人としての責任と、父親として息子を生かしたいという想いの間で苦悩する。
母は、家族が失われる恐怖を抱える。
そして誠司自身も、死にたいわけではない。
ただ、父に認められたい。
家族を守れる男になりたい。
その