あらすじ
博士号は取った。就職先は、なくなった。
応用生物学の博士・日高理一は、処分予定だった中古の実験機器を譲り受け、町の奇妙な困りごとを調べる「科学便利業」を始める。
助手は、姓名判断への絶望から科学を信じるようになった大学院生・牧野明。
赤い涙を流す植物、腐らない弁当、夜だけ現れる壁の染み。二人は不可解な現象を観察し、仮説を立て、実験によって再現していく。
科学で現象は説明できる。
人の想いを理解するのは、それからだ。
就活に失敗した博士と理系女子大学院生が、論文にはならない町の謎を解きほぐす、ほのぼの科学ミステリー。
主要登場人物
日高理一(34)
応用生物学の博士。就職予定だった研究会社の社長が急逝し、無職になる。中古の実験機器で科学便利業を始めた。普段は頼りないが、観察力と実験設計は一流。宮崎出身で、好物は冷や汁。
牧野明(24)
加藤研究室の修士課程に所属する大学院生。温和で聞き上手だが、根拠のない主張には厳しい。中学生時代、姓名判断の悪い結果に絶望して科学へ傾倒した。
加藤誠二郎(61)
日高と明の恩師。大学教授。中古機器と厄介な相談を日高へ回す、世話焼きな人物。教え子の能力を誰より信頼している。