あらすじ
【第15回角川つばさ文庫小説賞】応募作品です。
加賀美桜子は、おとなしくて人見知りな女の子。十三歳の誕生日をむかえ、中学校の入学式当日――五年前の出来事を思い返していた。
そのころの桜子は周囲が心配するほど無口で、他人と交わろうとしなかった。唯一、心を開いていたのは幼なじみの高梨舞だけだ。そんな桜子はある日、公園でクラスメイトたちにいじめられていた。助けに入ったのは、豪華なドレス姿の外国の美少女だ。ミレーヌと名乗った美少女は、桜子に励ましの言葉を贈り、さらに魔法でケガを治してみせた。執事のアルフレッドも魔法を使って馬車を出し、ふたりは夕陽にとけるように去っていった。この夢のような出来事は、今も桜子の心に残っている。
桜子が入学した礼城中学には、気品ある女子の育成を目的とした『お嬢さま部』が存在するが、入部テストに合格しなければならない。桜子は友だちの中辻かのんに勧められ、クラスメイトの椿理央と共にテストを受けることになった。理央は空手に打ち込んでいる男の子だが、かわいいものが大好きな女装少年。ドレスを揃えている『お嬢さま部』は、理央にとっては理想の環境だ。
『お嬢さま部』の部員は、お嬢さまになりきっている九条芽亜里と宝来杏奈、執事の雪平仁の三名のみ。芽亜里たちに厳しい言葉を投げつけられ、入部テスト不合格となった桜子と理央。しかし、ミレーヌが『お嬢さま部』と関係していることを知り、桜子は諦めきれない。
紆余曲折の末、再テストで合格となった桜子と理央だったが、驚愕の真実を知る。満月の日、『お嬢さま部』の部室と、異世界のシュトラーザ王国がつながるという。『お嬢さま部』の部員は、異世界交流の外交官でもあったのだ。ミレーヌは伯爵令嬢で、王国側の外交官だった。
お嬢さま修行をして成長した桜子たちは、伯爵家のお茶会に招かれた。劇的な再会を果たす桜子とミレーヌ。
お嬢さまの気高さを学んだ桜子は、疎遠になっていた舞にも本音でぶつかるのだった。