あらすじ
この世界では、生まれたとき誰もが《魔力》を持つ。
炎を操る者。
雷を呼ぶ者。
剣を強化する者。
強大な魔力を持つ者ほど、英雄に近づける世界。
だが、少年・レイには――魔力がなかった。
完全なる《零》。
戦う力もない。
魔法も使えない。
だから彼は冒険者パーティーで、荷物を運ぶだけの「役立たず」だった。
ある日、ダンジョンで仲間たちは彼を見捨てる。
唯一、レイを人間として扱ってくれた少女と共に。
逃げれば助かる。
戦えば死ぬ。
それでも、少女の前に立った。
「俺は……また、何もできないまま誰かを失うのかよ」
その瞬間。
少年の心臓の奥で、青い炎が燃え上がった。
それは魔力ではない。
怒り。
悲しみ。
絶望。
そして――守りたいという願い。
心を燃料に変える、世界に存在しない力《心炎》だった。
錆びた一本のボロ剣を握り、最弱だった少年は立ち上がる。
だが、その力には代償があった。
強くなればなるほど。
炎を燃やせば燃やすほど。
少年は――自分の心を失っていく。
これは、何も持たなかった少年が。
世界最強へ至りながら。
最後まで「人間」でいられるのかを描く物語。