あらすじ
三十六歳、会社員――高橋悠一。
仕事も生活も、それなりに順調だった。
大きな失敗をしたわけでもない。
人生に絶望していたわけでもない。
ただ――飽きていた。
毎日同じ時間に起き、働き、家へ帰り、眠る。
このまま歳を取り、いつか死んでいく。
そんな自分の人生の先が、もう見えてしまったような気がしていた。
もし異世界にでも行けたなら。
剣を手にして。
魔術を覚えて。
見たことのない世界を旅する。
そんな人生なら、少しくらい面白いかもしれない。
――そして気がつけば。
悠一は異世界の赤子、アドリス・ライラスとして第二の人生を歩み始めていた。
そこは、剣と魔術が存在する世界。
冒険者。
魔獣。
聖騎士。
様々な種族。
見たこともない街や文化。
前世で失っていた「未知」に触れるたび、アドリスは思う。
転生してよかった。
今度こそ、自分のやりたいことを見つけよう。
もしかしたら、とんでもない才能だってあるかもしれない。
剣と魔術を極め、英雄にだって――。
だが。
そんなに、この世界は甘くなかった。
人は簡単に死ぬ。
善人だから助かるとは限らない。
努力すれば必ず報われるわけでもない。
剣を望んでも才能があるとは限らず、
魔術を学んでも天才になれる保証などない。
そして強くなればなるほど知ることになる。
この世界には、自分など遥かに及ばない強者がいくらでもいるということを。
それでも。
アドリスは剣を取る。
一つの道で頂点に立てないのなら、使えるものをすべて使えばいい。
剣を振るい。
魔術を学び。
仲間と出会い。
敗北し。
傷つき。
少しずつ、自分だけの戦い方を作り上げていく。
これは――
転生しただけで最強になれる物語ではない。
理不尽な世界で、
それでも自分の人生を選び続ける一人の男の物語。
剣と魔術、冒険と成長、出会いと喪失。
第二の人生を歩む男の、本格王道ダークファンタジー。