あらすじ
九十歳で亡くなった祖母・静江は、生前、一度も素顔を家族に見せなかった。葬儀のため、その厚い化粧を落とそうとしたところ、顔から奇妙な薄膜が剥がれ落ちる。しかも一枚剥がすたび、祖母の顔は一歳ずつ若返っていった。
アルバムの写真と照合すると、現れた顔は確かに各年代の祖母と一致している。まるで九十年の人生そのものが、化粧として顔に積み重なっていたかのように。
しかし少女時代まで遡ったとき、そこに現れたのは家族の知らない少女の顔だった。
「おばあちゃん、そんなに塗ったら顔なくなっちゃうよ」
幼い日の問いに祖母が答えた言葉。
「逆だよ。塗らないとなくなるんだよ」
その意味を、美咲は初めて知ることになる。