あらすじ
コロナ禍で売上を失ったエステサロン経営者・如月由美子。
店を守るため必死にもがく彼女の前に現れたのは、数千万円もの支援が受けられる大型補助金だった。
亡き父から相続した土地。
いつか建てたいと思っていた自分の店。
補助金を使えば、その夢が現実になるかもしれない。
専門家を探し、事業計画を作り、銀行に融資を求め、ついに掴んだ「採択」。
しかし、それは救済ではなく、入口に過ぎなかった。
膨らむ事業。遅れる手続き。狂い始める資金繰り。
それぞれの立場と制度の論理が噛み合わないまま、彼女は少しずつ後戻りのできない場所へ追い込まれていく。
補助金は、本当に経営者を救うためのものなのか。
コロナ禍の中小企業を舞台に、補助金という「善意の制度」が一人の経営者と、その周囲の人間たちの人生を変えていく過程を描いた企業小説。