あらすじ
2000時間。
それが、ある青年が伝説のRPG――
『Ragnarok of the Abyss(ラグナロク・オブ・ジ・アビス)』に費やした時間だった。
彼がずっと夢見ていたものは、ただ一つ。
ゲーム内で最も偉大な存在――
「戦王オリオン」になること。
幾年もの鍛錬、数え切れない戦い、そして数々の隠しクエストを乗り越え、ついに彼は「死の王」との最終決戦へとたどり着いた。
しかし、決戦が始まる直前――
彼は人生最大の過ちを犯した。
セーブデータを削除してしまったのだ。
すべてが消えた。
2000時間に及ぶプレイ時間。
伝説の武器。
数々のスキル。
積み重ねてきた功績。
そのすべてが、一瞬にして消滅した。
そして、あまりのショックに彼の心臓は止まった。
次に目を覚ましたとき――
彼はゲームの世界にいた。
しかも、さらに信じられないことに――
「オリオン」本人の身体に転生していた。
だが、彼が知っているオリオンではない。
それは、まだ何者でもなかった頃のオリオン。
レベル:1。
身体能力:1。
魔力:0。
スキル:0。
2000時間かけて育て上げた、あの伝説のキャラクターはもう存在しない。
しかし、彼には一つだけ、何よりも価値のあるものが残されていた。
ゲームの完全な知識。
隠された財宝の場所。
モンスターの生息地。
秘密のクエスト。
敵の弱点。
そして、この世界に待ち受ける未来さえも――。
しかし、すぐに彼は気づく。
何かがおかしい。
彼が知っているゲームとは、世界の仕組みが違っていた。
クエストが変わる。
キャラクターたちの行動が変わる。
そして、何千時間もかけて覚えたはずの未来までもが、少しずつ変化していく。
戦王の座へたどり着くためには――
もう一度、最初からやり直すしかない。
ただし、今度はプレイヤーとしてではない。
自分自身が、オリオンなのだ。
レベル1から始まる、
一人の少年の――
「戦王」への再臨が、今始まる。