あらすじ

五年前の送り盆。

榧森千景は、死んだ幼なじみ・鷺沢朔也を〈螺鈿の蝉〉とともに送り出した。

それから五年。
彼のいない季節を生きてきた千景のもとへ、八月十三日、一通の封筒が届く。

中に入っていたのは、すでに取り壊されたはずの〈螺鈿回廊〉の写真。

そして裏には、朔也の筆跡で、「まだ、咲いてる。」とだけ書かれていた。

故郷へ戻った千景が辿り着いたのは、死者を導く〈蝉〉とは対をなす、もう一つの回廊。

そこに咲く幻想的な螺鈿の花は、死者を忘れられず、過ぎた夏に心を残した〈生者〉の証だった。

忘れることと、前へ進むことは違う。

死者が帰るために蝉が鳴くのなら───
生者は、何のために花を咲かせるのか。

これは、あの夏に別れた二人が、それぞれの季節を生き直すための物語。

───『螺鈿の蝉』から続く、もうひとつの夏の終わり。

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アルファポリス
アルファポリス2026/08/19
  • 現在の作品螺鈿回廊に咲く