あらすじ
「ここは、乙女ゲームの世界だ──」
そのことに気付いたとき、エリシア・ヴァルティアは、自分が何度死んでも時間が巻き戻る無限のループに囚われていることも理解した。
ゲームのシナリオにおいて『悪女エリシア』は聖女候補リアナを妬み。
禁忌の『魅了』の黒魔法を使った罪で断罪され。
王国最年少のソードマスター、カイゼル・グラディスの剣に首を落とされる。
処刑されて、死ぬたびに時間が巻き戻る。
何百回繰り返しても、乙女ゲームのシナリオを遂行する『強制力』に操られ、運命を変えることはできなかった。
しかし今回のループで、本来は中盤に現れるはずの『魅了』の黒魔法陣が、なぜかすでに自分の舌に宿っていることにエリシアは気付く。
さらに、シナリオに存在しないセリフを口にすることだってできた。
「もしかして──『強制力』が弱まっている?」
ならば、運命を変えられるかもしれない。
処刑される未来を否定するため、エリシアは禁じられた選択をする。
本来魅了するはずの王太子ではなく、自分を殺す運命の騎士・カイゼルを魅了すると決めたのだ。
『魅了』の魔法をかけられたカイゼルは、甘く熱を帯びた瞳でエリシアを見つめ、そんな彼にエリシアも甘く囁く。
「カイゼル。わたしたち、きっと勝てるわ」
リアナに。シナリオに。
そして──『強制力』に。
必ず勝って、わたしは自由を手に入れる。