あらすじ
一浪の末に大学へ合格した私は、沖縄本島で暮らす祖母の家へ移り住む。
脳卒中の後遺症と軽い認知症を抱える祖母との生活は、最初は穏やかなものだった。夕食を作り、一緒にテレビを見て、同じ話を何度も聞いた。
やがて大学で仲間ができ、アルバイト先では夜遊びや異性との交流を知る。外の世界が広がるほど、祖母の心配や小さな頼み事は、私を縛るものに思えていった。
大学、アルバイト、家事、介助。すべてをこなしているはずなのに、祖母はまだ私に何かを求める。
ある日の夕食、祖母が何気なく口にした。
「ちゃんと聞いてる?」
その一言を境に、二人の穏やかだった暮らしは形を変え始める。
愛情と介護が、支配へ変わっていく文芸ホラー。