あらすじ
女子大学生の失踪事件が世間を騒がせる中、大学生たちは集まって怪談を語り始める。
その中の一人の女性が語ったのは、「美しい髪」を欲しがるマネキンの話だった。
完璧な体型と服装を持ちながら、自分の髪だけを持たないマネキン。やがて彼女は、何の努力もしていないように見えるのに、生まれつき美しい髪を持つ女性に激しい嫉妬を抱くようになる。
「彼女より、私の方がその髪にふさわしい」
そう自分に言い聞かせ、ついには女性から髪を奪ったマネキン。しかし、美しい髪を身につけて鏡を覗いた彼女が見たのは、目も鼻も口もない真っ白な顔だった。
怪談が終わった後、仲間の一人が語り手の話に奇妙な矛盾を指摘する。
そして次第に明らかになるのは、その怪談が単なる創作ではなく、語り手自身が抱えていた嫉妬や劣等感をマネキンに置き換えた物語だったということ。
他人の美しさを憎み、自分の醜さから目を背け続けた女性が最後に手に入れたものとは何だったのか。
美しさへの執着と嫉妬、人間の自己正当化を描く文芸ホラー。