あらすじ
妖怪が出ても、学校は休みにならない。
摂津の港では、異国の品の隣に魔除けの札が並ぶ。
船乗りたちは天気の話をするのと同じ調子で、昨夜見た怪異の話をする。
それくらい、この国では怪異が近い。
十六歳のモモは、学校にほとんど行かない。
それでも数学の授業だけは出る。
数字はいい。
条件さえ間違えなければ、答えが変わることはない。
そんなモモの隣に、ある日、山城から来た少女・キイが座った。
よく喋る。
よく笑う。
頼んでもいないのについてくる。
気づけばモモの帰り道には、いつもキイがいた。
怪異には癖がある。
呪いには条件がある。
知らないものでも、よく見れば規則くらいは見つかる。
人間は、そうはいかない。
母は消えた。
父は何も話さない。
そしてキイもまた、モモの知らない顔を持っている。
数式なら、分からないものには分からないなりの解き方がある。
けれど人間は、
そもそも何を求めれば正解なのかさえ分からない。
怪異は解ける。人間は、解けない。