あらすじ
52歳で派遣社員として俺
唯一の楽しみはアニメだった。
五十を過ぎてアニメを見るなんて、と笑われることもある。
それでも俺は、仕事から帰ればネットで気になる作品を探し、
勇者
魔王
異世界転生
追放
悪役令嬢
――そんな物語を夢中になって見ていた。
そんなある夜、突然、世界が白く染まった。
目を覚ますと、そこは見たこともない草原。
そして遠くには、アニメで何度も見たような、空を覆う巨大な樹がそびえていた。
「……まさか、本当に異世界?」
しかも、異世界転生のお約束のように、俺は若い身体へと生まれ変わっていた。
勇者か?
魔王か?
それとも賢者か?
――いや。
俺に与えられた役割は、そのどれでもなかった。
俺は、この世界で壊れたものを直すための存在。
「修復者」だった。
世界樹の衰弱。
増え続ける魔物。
暗躍する魔王軍。
そして、この世界に残された「過去の転移者」の痕跡。
やがて俺は気づいていく。
この世界で起きている異変は、単純な「勇者と魔王の戦い」ではない。
そもそも――魔王は本当に敵なのか?
なぜ俺は52歳という年齢で選ばれたのか。
なぜ日本から、この世界へ人間が送り込まれているのか。
そして、世界樹が枯れ始めた本当の理由とは。
「俺はただ、静かに暮らしたかっただけなんだけどな……」
勇者でもない。
魔王でもない。
英雄になるつもりもない。
それでも、壊れてしまった世界を前にしたら――
長年、工場で小さな異常を見つけ続けてきた男は、
今日も壊れたものを直す。
これは、異世界で第二の人生を始めた52歳のおっさんが、
世界そのものを修復していく物語。