あらすじ

人の世界と暦のあいだには、七十二の小庭から成る「綴季庭」がある。 雨の匂い、夕暮れの風、落ち葉の音、霜の朝の静けさ。人々が見つけた小さな季節は「季片」となり、四人の綴り手によって暦へ縫い戻される。そうして春夏秋冬は、今日まで巡ってきた。 ところがある朝、春の門が開かなくなる。 芽吹き係のササメは、誰より早く春のしるしを見つけていた。けれど、間違うことが怖くて声にできない。待ちきれないナギロが門をこじ開けると、花びらと雪が同時に噴き出し、庭の季節はほどけ始める。 四人が乱れた暦の奥で見つけたのは、存在しないはずの「七十三枚目」の記録と、人の世界から届いた言葉だった。 ――春なんて、来なければいい。 これは、見過ごされた季節にもう一度名前を与える物語。小さな変化を見つける者、立ち止まれない者、忘れられない者、休めない者が、それぞれの不器用さを抱えながら一年を渡していく。

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カクヨム
カクヨム2026/08/19
  • 現在の作品綴季庭の四季綴り 春を言えないササメ