あらすじ

僕には妻がいる。 彼女は十二歳年下で、僕の知らない場所でも、選び、拒み、間違えながら、自分の人生を歩いていた。 連絡が来れば、僕は紫色の車を走らせた。迎えに行き、帰れない夜には眠れる場所を探し、会えない時間さえ、空いた助手席とともに待った。 彼女を救いたかった。その思いに嘘はない。 けれど、彼女に必要とされることで、自分の価値を確かめていたのかもしれない。 妻の待つ日常のすぐ隣で、守ることと縛ること、待つことと手放せないことの違いを見失っていった僕。 僕の手を求めながら、ときには拒み、僕ではない人生を選び続けた彼女。 越えてはいけない境界線のそばで、近づいては傷つき、離れてはまた互いを求めた、名前のない七年間。 あれから七年。 僕はようやく、あの頃へ迎えに行く。

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カクヨム
カクヨム2026/08/19
  • 現在の作品迎えに来るの、七年もかかった。――境界線の独白――