あらすじ
五百年前。
世界を滅ぼそうとした魔王は、五人の英雄によって討たれた。
――それが、この世界で誰もが知る歴史だった。
それから五百年。
小さな村で暮らす少年、ソルは、ある日偶然にも古びた祠を見つける。
そして、その祠の奥で出会ったのは――
五百年前に討たれたはずの《魔王》、ベラトリクスだった。
「妾を知っておるか?」
鎖に繋がれた少女は、そう問いかける。
ソルは知らなかった。
自分が出会った少女が、世界中で恐れられている「魔王」だということを。
そして、彼女と出会ったことで見ることになる、五百年前の記憶。
そこに映っていたのは、ソルが知っている歴史とはまったく違う光景だった。
勇者レグルス。
剣聖シリウス。
守護騎士アルデバラン。
賢者アークトゥルス。
聖女ルナ。
そして――魔王ベラトリクス。
五人の英雄と魔王。
本来なら、決して並ぶはずのない六人が、そこではまるで仲間のように笑っていた。
「妾たちは、六人で世界を救った」
その言葉をきっかけに、ソルが当たり前だと思っていた「五英雄の物語」は、大きく揺らぎ始める。
魔王は、本当に世界の敵だったのか。
五人の英雄は、なぜ魔王と共にいたのか。
そして――五百年前に、一体何が起きたのか。
何も知らない少年と、五百年もの間ひとりで取り残された魔王。
二人の出会いから、止まっていた五百年前の物語が、再び動き始める。
これは、失われた歴史と、受け継がれる想いを巡る――
少年と魔王の物語。