あらすじ
あらすじ
同棲を始めて一年半になるエリカとアザミ。付き合い始めた頃は、何をするにも一緒で、他愛のない会話さえ幸せだった。しかし、共に暮らす時間が長くなるにつれ、二人の間には少しずつすれ違いが生まれていく。
「別れたい」と思うほど嫌いになったわけではない。それでも、以前のように相手を想うことができなくなった気がする。喧嘩をしては距離を置き、寂しくなってはまた寄り添う。そんな曖昧な関係を繰り返すうちに、二人は自分たちの恋がもう元には戻れないのではないかと感じ始める。
ある夜、アザミは付き合い始めた頃に交わした「いつか作ってあげる」という約束を思い出し、タルトタタンを焼く。二人で食べたその味は、りんごの甘さと焦がしたカラメルのほろ苦さが入り混じっていた。
エリカはその味を感じながら、二人が過ごしてきた幸せな日々と、今抱えている苦しさを重ねる。
――甘くて、ほろ苦い。
それはまるで、二人の恋そのものだった。
別れるのか、それとももう一度やり直すのか。答えを出せないまま、二人は最後の一切れを分け合う。