あらすじ
*登場人物*
菜花
三年前の気象事故で責任を負わされ、故郷を離れた元観測員。情熱的でありながら冷静な判断力を持つ。
智寿
菜花の元婚約者で観測設備の整備員。三年前、菜花の停止命令を無視する操作を行い、虚偽の事故報告にも署名した。
日和
観測所の技術者。控えめだが、自分が正しいと思ったことには一人でも動ける。
清愛
街を走り回って情報を集める記者。直感と行動力に優れ、間違いに気づけばすぐに軌道修正できる。
友加里
街の水と観測所を預かる責任者。市民を守るためなら危険な判断さえ選ぼうとする。
*あらすじ*
砂漠化が進んだ近未来の日本。
三年前の気象制御事故で責任を負わされた菜花は、水不足に陥った故郷へ呼び戻される。
そこで再会したのは、自分を裏切った元婚約者・智寿だった。
砂漠の果てで見つけたのは、三年前に返したはずの壊れた婚約指輪。その内部には、消された事故記録を保存した一本のフィラメントが残されていた。
霧の夜、街中の路地裏から聞こえる「不思議な噂」。
公式記録から消された停止命令。
観測所の視界に現れる漏斗雲。
真相を追うほど、菜花は智寿が本当に選んだことと、自分が三年間信じてきたことに向き合うことになる。
迫る水不足の中、危険な人工降雨を続けるのか。それとも、誰も信じてこなかった「ひとひらの風」に街の未来を託すのか。
壊れた関係は、元の形には戻らない。
それでも人は、自分の意志でもう一度選び直せる――。