あらすじ

事故や劣化で「実用不能」とされ、消去を待つ失効術式――通称《廃棄魔法》。 二十一歳のルネカは、魔法資格試験に三度落ちた無資格の職人だ。完成した術式を扱えない一方、壊れた魔法に残る機能だけは、誰より鮮明に読み取れる。 雨を降らせるはずが、地面から空へ水を吸い上げる《逆さ雨》。 街を襲う洪水の中、ルネカはその欠陥を排水へ転用し、人々を救う。しかし、無許可で魔法を作り替えた彼女を待っていたのは、称賛ではなく拘束だった。 彼女の技術と違反を、同じ報告書へ残した主任監察官ローディク。規則を重んじる彼が提示したのは、その監督下で廃棄魔法を再審する仮免許だった。 期限は六か月。十二件の再審を完了できなければ、ルネカの資格も、新設された特例再審班も失われる。 戻りすぎる転移門。音を食べる演奏箱。実をつけず、根だけを伸ばす果樹園。 ルネカは欠陥を消すのではなく、欠陥が役立つ別の用途へ魔法を《継ぎ直す》。だが、直せることと、直してよいことは同じではない。 可能性を捨てられない職人と、規則で人を守ろうとする監察官。 二人のあいだで変わっていくのは、告白の言葉ではない。記録用紙のどこを空けておくかと、茶に入れる砂糖の数だけだ。 正反対の二人が、再生か消去かを選びながら、失敗した魔法とその持ち主にもう一度向き合う、異世界お仕事バディファンタジー。

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カクヨム
カクヨム2026/08/08
  • 現在の作品魔法の継ぎ直し師ルネカ