あらすじ
夜中、いつもの帰り道を歩いていたおれは、思わず声を漏らして立ち止まった。
目の前――数メートル先に野球のユニフォーム姿の男が立っていたのだ。
道のど真ん中で、まるでマウンドに上がった投手のように両足を肩幅に開き、背筋をまっすぐに伸ばしていた。周囲には車も人影もなく、しんと静まり返っていた。
いったい何をしているんだ。試合の帰りか? そう思い、目を凝らした瞬間だった。腹の奥を鷲掴みにされ、力任せに揺さぶられたように内臓がぶるりと震えた。
――あの男だ……!
あれは先週のことだった。おれは会社の野球チームの試合に駆り出されていた。