あらすじ

「……あなた、誰ですか?」

その一言は、兄の心を何度でも壊した。

安城誠二郎には、大切な妹・遙華がいる。

しかし彼女は、壮絶ないじめをきっかけに前向性健忘を発症し、新しく積み重ねた記憶を失い続ける病と闘っていた。

昨日笑い合ったことも。

交わした約束も。

兄の存在さえも。

すべては翌日には”白紙”へ戻ってしまう。

それでも誠二郎は、毎日病院へ通い続ける。

「お前には兄がいる」

「俺の名前は安城誠二郎」

何度忘れられても、何度でも伝え直すために。

そんなある冬の日。

遙華は初めて、自ら「外へ出たい」と願い、兄妹は雪だるまを作る約束を交わす。

忘れてしまうはずの約束。

叶うはずのない約束。

──それでも、その小さな奇跡は静かに動き始めていた。

これは、失われた記憶を取り戻す物語ではない。

何度忘れられても、想いだけは忘れない兄と妹が紡ぐ、切なくも温かな希望の物語。

あなたは、この物語の最後で、大切な人の名前をもう一度呼びたくなる。

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アルファポリス
アルファポリス2026/08/06
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