あらすじ
「願いを一つだけ、何でも叶えてやろう」
ある夜、平凡な少年・一条望は、夢の中で一人の神と出会った。
白い髪をした、どこか冷たい雰囲気の女性。
彼女の名は、産霊(むすひ)。
産霊は望に、たった一つだけ願いを叶えると言う。
金でもいい。
才能でもいい。
不老不死でもいい。
世界を変えるような願いでも構わない。
ただし――願いは一つだけ。
望はしばらく考えた。
そして、神にこう答えた。
「じゃあ、その『一つだけ』ってルールごと、なんとかできませんか」
「……なに?」
「願い事を、無限にしてください」
こうして望は、無限に願いを叶えられる力を手に入れた。
ただし、神には四つのルールがある。
一つ。
願いは無限に叶える。
二つ。
一度叶えた願いは、どんな願いでも取り消せない。
三つ。
願い同士は矛盾できない。
そして四つ。
願いは、最も自然な方法で叶えられる。
世界を良くしたい。
誰かを救いたい。
苦しんでいる人を減らしたい。
根っからのお人好しである望は、そんな単純な思いから願いを使い始める。
けれど――。
願いが叶えば、必ず何かが変わる。
一人を救えば、別の誰かの運命が変わるかもしれない。
一つの問題を解決すれば、それまで存在しなかった新たな問題が生まれるかもしれない。
そして、一度叶えた願いを取り消すことはできない。
「……こんなはずじゃなかった」
そう思った時には、もう遅い。
無限に願える少年と、何もかも知っているような神。
これは、善意から始まった願いが、世界を少しずつ変えていく物語。
【登場人物】
◆一条 望(いちじょう のぞむ)
本作の主人公。
十七歳。
困っている人を放っておけない、根っからのお人好し。
自分が損をすることになっても、誰かのためなら手を差し伸べてしまう。
そんな望の前に、ある夜突然、神・産霊が現れる。
「一つだけ、何でも願いを叶える」
そう告げられた望が選んだ願いは――。
◆産霊(むすひ)
人間から「神」と呼ばれる存在の一柱。
白い髪と、どこか人間離れした雰囲気を持つ女性。
感情が薄く、冷たい印象を与えるが、決して人間を嫌っているわけではない。
むしろ、人間のことを誰よりも長く見続けてきたからこそ、彼らの願いがもたらすものを知っているようで……。
なぜ産霊は、望に願いを与えたのか。
そして、望が「願い事を無限にしてほしい」と願った時、なぜ彼女はあんな表情を見せたのか。
その答えを知る者は、まだ誰もいない。