あらすじ
『徒然草』の吉田兼好は、死後、冥府の閻魔様のもとで働く小野篁のもとで、下界の様子を報告する務めを仰せつかった。
南北朝の合一という、この上ない慶事の裏で、兼好は一つの不穏な予感を抱いていた。「両統迭立」という約束は、本当に守られるのか――。
その予感通り、約束はやがて破られ、後南朝という新たな火種がくすぶり始める。足利義満の栄華と義嗣への異例の寵愛、義持の反動、籤引きで選ばれた将軍・義教の恐怖政治とその崩落、そして幼将軍が相次いで世を去る中で、政の実権をめぐる暗闘が静かに、しかし確実に積み重なっていく。
一つの約束が破られたことが、次の火種を生む。史実を丁寧に辿りながら、応仁の乱という大乱に至るまでの、長い長い前史を描く。