あらすじ

「お前がいなくても、畳は刺せる」——義父が刺し上がったばかりの三枚を顎で示した朝、わたくしは何も言い返さず、七年採ってきた寸法から手を引きました。 座敷は柱が痩せて、四隅が寸ずつ違います。南で二分、北で一分。差し金の数字どおりに切れば、目だけはきれいに揃うのです。据えた翌朝、框の角が鳴るまでは。 家を出る日、預かった表十六枚と縁十八枚ぶんを数え、寸法の控えは破りも隠しもせず箱へ揃えて置いてきました。七年ぶん親切にして、最後だけ意地悪をするほど暇ではございません。 普請の検めで、肝煎が框を踏みました。かた、と一段高く鳴る。——空いた寸法採りに、柱を撫でる手はもうございません。自分の名を框の裏へ刻んだわたくしのもとへ「戻れ」と立った義父へ、同じ一句をお返しするお話。

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小説を読もう2026/08/07
  • 現在の作品用済みと「畳は刺せる」と言われ、七年ぶんの寸法採りから手を引きました——踏めば、お宅の框だけ浮いて鳴る