あらすじ
鳴海蓮の嘘は、善人にはあまり通じない。
古い雑居ビルの一室にある「鳴海事務所」。
そこには、こんな看板がかかっている。
嘘で困った方、嘘でお返しします。
鳴海蓮は、悪人だけを騙す詐欺師だった。
困っている人からは一円だけを受け取り、弱者を食い物にする悪党からは、容赦なくすべてを奪う。
そんな彼のもとへ、若手弁護士・白庭真央が訪れる。
「弟を助けてください」
漫画家を目指していた弟・陽太は、ある財団の支援を受けてから、何も描けなくなっていた。
ノートに何度も書かれていた言葉は、ただひとつ。
「明日やる。」
若者の再出発を支えるはずの灯明財団。
その代表・灰堂怜司は、優しい言葉と正しい理屈で人を救う慈善事業家として知られていた。
だが蓮は、その善意の奥にある“檻”の匂いを嗅ぎ取る。
人は、信じたい嘘にしか騙されない。
そして悪人は、自分に都合のいい嘘ほどよく信じる。
善意を装う男から、奪われた明日を取り返すため、悪人専門詐欺師・鳴海蓮が最後の嘘を売りにいく。
騙された悪党に、逃げ場はない。