あらすじ
あらすじ2001年4月、桜が舞う公園。三歳の蓮は、ピンクのワンピースの少女・ひまりに一目で心を奪われた。保育園から小学校、中学校まで常に隣にいながら、蓮は想いを告げられずにいた。壊したくないから。失いたくないから。十五年間胸に抱き続けた想いを初めて口にしたのは、高校二年の夏。あの公園で。「三歳の時からずっと好きだ」——ひまりもまた、ずっと同じ気持ちだった。画家を志した蓮と教師になったひまり。遠距離恋愛、同居、結婚、娘の誕生。幸せな日々だった。しかし三十歳、蓮の体に病が訪れる。手の震えが進行する振戦——絵筆を握れなくなる。それでもひまりは言う。「絵が描けなくても、れんくん自身が好き」。蓮は震える手で描き続けた。六十八歳の春。絵筆を握れなくなった蓮に、ひまりは「私があなたの手になる」と申し出る。二人で描いた最後の一枚は、桜の下で手を繋ぐ二人の姿。「ずっと一緒だったな」——蓮はひまりの手を握ったまま、静かに目を閉じた。三歳の初恋から、最期の瞬間まで。ただ一人を愛し続けた六十五年の物語。