あらすじ

僕の傷は三秒で消えて、近くにいる誰かへ移る。 誰が傷つこうと、自分でなければ構わない。ずっと、そう思っていた。 ある日僕は、隣の席に座る女子生徒へ、指先の小さな切り傷を押しつけた。 たかが切り傷だった。 けれど彼女───草川栞は、僕の傷を見た途端、何かに怯えるように教室から逃げ出した。 彼女はなぜ、僕の傷を恐れたのか。 なぜ、その身体には傷が絶えないのか。 怪我で学校を休み始めた栞の家へ、僕は担任に命じられてプリントを届けることになった。 雨の日に傘を借り、少ししょっぱいクッキーをもらい、互いの名前を呼ぶようになる。 そうして僕は初めて、自分以外の誰かが傷つくことを怖いと思った。 これは、他人の痛みを顧みなかった僕が、たった一人の痛みだけは見ていられなくなるまでの話。

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小説を読もう2026/08/07
  • 現在の作品僕の傷は、やがて君になる。