あらすじ
「丸暗記では、本当の思考力は身につかない」
そう信じて、模範解答を覚えることを避けていませんか。
解説を読めば分かる。けれど、本番では解き方を思いつけない。自分なりに本質から理解しようとしているのに、典型問題を繰り返し覚えている人たちに追い抜かれていく。
そんな経験のある人にこそ、知ってほしいことがあります。
ChatGPTやGeminiは、あれほど自然に文章を書き、未知の質問に答え、ときには人間以上に賢く見えます。けれど、その学習の出発点は驚くほど単純です。
「次に来る単語は何か」
「空欄に入る単語は何か」
乱暴に言えば、AIは膨大な数の暗記問題を、間違えては答え合わせし、正解できるまで繰り返しているだけです。
それなのにAIは、単語同士の意味関係や文章の構造を、誰からも直接教えられないまま獲得していきます。word2vecでは、周囲の単語を当てる学習を続けた結果、単語間の関係がベクトル空間に現れます。正解を覚える教師あり的な学習を重ねるうちに、いつの間にか、教師なし学習で得られるような構造まで発見しているのです。
ならば、人間の勉強でも同じことが起こるのではないでしょうか。
模範解答を覚える。公式の使い方を覚える。穴埋め問題にして、何も見ずに再現できるまで繰り返す。
一問だけを覚えれば、ただの丸暗記かもしれません。しかし、十問、百問と覚えていけば、問題同士の共通点や、解法を使える条件が見えてくる。覚えた知識が内部で結びつき、初めて見る問題を解くための「思考力」に変わっていくかもしれません。
本作の主人公・瀬尾直哉は、「暗記は理解からの逃げだ」という信念のため、好きな数学と物理の成績を伸ばせずにいました。現役最後の模試で惨敗し、受験勉強から逃げ出した彼は、自然言語処理の研究者である母から、大規模言語モデルの学習方法を教わります。
そこで直哉が始めたのは、模試の解答解説を穴埋め問題にして、丸ごと覚えることでした。
「丸暗記はよくない」と思いながら、受験勉強や資格勉強で伸び悩んでいるあなたへ。
暗記と思考は、本当に敵同士なのでしょうか。
まずは、覚えてみてもいいのではないでしょうか。
Memorization Is All You Need――暗記は全てを解決する。
その意味を確かめたい方は、ぜひ本編をお読みください。