あらすじ
メタバースを舞台にした、近未来SFホラー。
「メタミグレーション」は、メタバースの「メタ」と、「ミグレーション(migration)=移住」を合わせた、作者の造語です。
主人公は、元デリヘル嬢のフリージャーナリスト・掛井紗綾、二十六歳。生身の身体で稼ぐことに限界を感じた彼女は、メタバースへの「転職」を考えていた。
紗綾が無関心を決め込んだ二歳下の弟は、ナイフで自らの喉を突き、父親は苦しむ息子にとどめを刺した罪で服役している。
その罪悪感から少年事件を追い続ける紗綾のもとに、十八歳の少年・有村幸太の奇妙な死が持ち込まれる。幸太はメタバース《ドリミアン・ワールド》に接続したまま、自室で餓死していた。
警察は事故死と判断する。しかし、幸太の少女アバター「アリス」と親しかったロリータファッションの少女・玉利芽久は、彼は殺されたと訴える。
調査を始めた紗綾は、《ドリミアン・ワールド》を開発したパケット・アーク財団の総帥・キリコと出会う。キリコは、紗綾が悪性脳腫瘍に冒されていることを見抜き、ある仕事を持ちかける。
《ドリミアン・ワールド》で探偵として働き、操るユーザーがいないはずなのに活動を続けるアバター――「ゴースト」を探せ、と。
ゴーストの増加には、真の守護様教団が関わっていた。教団は、メタバースに接続したまま肉体を餓死させれば、魂は仮想世界へ移住できる――すなわち「メタミグレーション」が可能になると説いていた。
やがてキリコは、紗綾に命じる。
教団が崇める神、モルフェラトスを殺せ――。
死者は、本当に仮想世界で生き続けているのか。
肉体とは何か。魂とは何か。現実とは何か。
少年の死を追う紗綾は、やがて世界そのものを覆す、恐るべき真実へと辿り着く。
あなたは、肉体を捨てられますか?