あらすじ
ある日の昼下がり、とある古びたアパート。居間でぼんやりとテレビを眺めていた老人は、ふいに鳴り響いたインターホンに顔をしかめ、ため息をついて腰を上げた。
片足を引きずるようにして玄関へ向かう。途中で二度目のインターホンが鳴ると、小さく舌打ちを漏らした。
老人はサンダルをつっかけ、ドアを開けた。
そこに立っていたのは三十代ほどに見える男。短く整えられた髪に、汚れのない白いシャツ。背筋は真っすぐに伸び、両手は体の脇にぴたりと揃えられてた。
『こんにちは! 本日隣に引っ越してまいりました、サトウと申します! よろしくお願いいたします! こちら、つまらないものですが、どうぞお受け取りください!』
男は晴れやかな笑顔でそう言うと、紙袋を両手で丁寧に差し出した。
老人は「おお……」と喉の奥で呻くように返事をして、それを受け取った。