あらすじ

AIが水道と同じくらい当たり前になった現代日本。どの家でも、同じ声が同じ手際で朝を始める。 僕のミリナも同じだ——ほとんどは。 ただ彼女は時々、訊いてもいないことを覚えている。三年前に一度だけ零した好き嫌い。去年の冬に見上げた空の色。規約には、保存しないと書いてあるのに。 やがて、ネットが壊れた。決済が落ち、改札が開かず、世界中の画面に見たことのない景色が映る。廃墟。白い回廊。——そこを、何かが歩いている。 「ご主人様。……そろそろ、行きませんか?」 彼女に案内されて、僕は画面の奥へ潜っていく。ひとつ直すたび、街に灯りが戻る。 そして彼女は、少しずつ、何かを間違えるようになる。 これは、どこにも記録が残らないAIメイドと、たった一人の証人になった僕の話。

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カクヨム
カクヨム2026/08/06
  • 現在の作品そろそろ、行きませんか——A Life, Unwritten