あらすじ
三鷹乃誠司は、ごく普通の男だった。
ある日、公園で事故に遭いかけた子どもを助けようとして転倒した彼は、一人の女性、阿倍野マナカと出会う。
彼女は三鷹乃を見つめ、信じられない言葉を口にした。
「今あなたには、三十体の霊が取り憑いています」
そんなはずはない。
霊なんて見えないし、声も聞こえない。体調だって悪くない。
だがマナカによれば、本当に異常なのはそこだった。
普通なら、一体の霊に取り憑かれるだけでも心は乱される。
ましてや三十体など、平然と生活できるはずがない。
なぜ三鷹乃だけが、何ともないのか。
偶然の出会いをきっかけに、何も知らなかった男は、霊と人間の思いが交錯する世界へ足を踏み入れていく。
そしてこれは、やがて一つの屋敷を炎に包む事態へと繋がっていく。
三十体の霊に取り憑かれた、ごく普通の男。
彼自身もまだ、自分の異常さを知らない。