あらすじ
「レベル1。成長率E。固有能力なし。――次の者」
十五歳の鑑定の儀で、アッシュは最弱の烙印を押された。
それでも彼はその日の夕方、塔に入った。孤児院の子どもたちを食わせる金が、明日には要るからだ。
そして、スライムを一体倒した瞬間――頭の中で、鐘が三度鳴った。
スライムの経験値は、2。
彼に入ったのは、200。
ちょうど、百倍。
教会の鑑定水晶は「経験値の流れ」だけを測れない。だからアッシュの欄は空になった。誰にも気づかれないまま、彼だけが百倍の速さで登っていく。
ただし、数字が増えても剣の腕は上がらない。レベルが跳ね上がるほど身体は制御を失い、アッシュは自分の踏み込みで転ぶ。
――強さは、ステータスと技術の両方でできている。
三百年前、ある朝いきなり現れた塔。その頂上には、この世界が隠してきた秘密がある。
最弱と呼ばれた少年が、誰にも知られないまま、最速で塔を登り詰める物語。