あらすじ
不慮の事故で命を落とした俺が目覚めると、そこは激しい硝煙と腐臭が渦巻く地獄、太平洋戦争屈指の激戦地『ペリリュー島』だった。
しかも、人間の記憶を持ったまま、日本陸軍の軍用犬(シェパード)「ハチ」に転生していたのだ。
艦砲射撃の恐怖に震える俺を、自らの体を盾にして命懸けで守ってくれたのは、心優しいハンドラー(調教師)の新田兵長。
自分が飢え死にしかけているのに、貴重な配給の乾パンを「お前が生きろ」と差し出してくる、世界でたった一人の大切な相棒。
歴史を知る俺は絶望する。史実通りなら、新田はあと数週間で確実に戦死する。「お前が食え!」といくら必死に吠えても、ただの犬の鳴き声は新田には届かない。
言葉の通じない圧倒的な絶望。精神論に狂った無能な上官。そして迫り来る、軍用犬を食料にしろという非情な「軍犬処分命令」。
一匹の『犬』として、現代の戦術知識と犬の超嗅覚を武器に、最愛の相棒を日本へ生きて帰すための命懸けのサバイバル戦記。
過去があるから今がある事を忘れずにいたい。