あらすじ

高校時代、私は毎週末、受験勉強のために近所のデパートへ通っていた。 五階の片隅にある、誰でも自由に使える休憩スペース。そこで私は、一人の奇妙な常連客を見かけるようになる。 彼は席に座る前、椅子を何十秒も見つめる。ごみ箱の回転蓋が止まるまで見つめる。ただ一点を、何かを確かめるように見つめ続ける。 私は彼を、ガルシア=マルケスと呼ぶことにした。 彼が見ていたものは何だったのか。 そして、あのデパートという場所には、どんな時間が流れていたのか。 『百年の孤独』へのささやかなオマージュを織り込みながら、地方デパートという誰もが知る空間を舞台に、「名前のない人々」と「失われた場所」の記憶を綴った観察エッセイ。 何も起こらないからこそ忘れられない、不思議な読後感が残る一篇。

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カクヨム
カクヨム2026/08/06
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