あらすじ
高校二年生・佐久良識は、ある日、一人のメイドを拾った。
「今日から、ご主人様のお世話をさせていただきます」
結と名乗るその少女は、誰よりも美しいのに、誰よりも常識が通じない。
家族には最初から親戚として認識され、学校へ通い始めれば瞬く間に人気者。
家ではいつも距離感バグの無自覚メイド。しかし当の識だけは、彼女の存在に違和感を覚え続けていた。
「人間とは、どうしてそこまで距離を気にするのですか?」
「私は、ご主人様のお世話をしているだけですが?」
彼女は感情は理解できても、実感することはできない天女だった。
過去は覚えているのに、大切だった理由だけを思い出せない幼なじみ。
そして、名前だけが先に与えられた主従関係。
長間市に残る古い泉の伝承と、千年前から続く天界との縁が、三人の運命を静かに結び直していく。
これは、失われた関係を結び直す物語。
そして、人はどうして誰か一人を特別に思うのかを、感情を持たない天女が知る物語。