あらすじ
「【収納】。ハズレだな」
五歳のスキル発現式で、伯爵家の五男レインが授かったのは、物を出し入れするだけの無能スキルだった。父は落胆し、四人の兄は笑った。
だが、レインだけが気づいていた。このスキル、収めた物を「検索」できる。
どの問屋がどの薬草をいくらで卸したか。誰と誰が裏で繋がっているか。三年分の取引が、一瞬で並び替わる。
銀貨9枚を元手に家を出たレインは、記録を武器に伸し上がっていく。品質を数字で証明し、人脈の裏側を線で結び、戦時の需要を集計から先読みする。やがてその情報は王都の政争を動かし、名を出さないまま王国の内政を支える「影のフィクサー」へと近づいていく。
剣は振れない。魔法も使えない。使えるのは、誰も読まない紙の山だけ。
紙とインクだけで、王国の重心を動かす。