あらすじ
公爵令嬢セシリア・ヴァン・アルディスは、王太子の婚約者でありながら、「男爵令嬢を毒殺しようとした」という濡れ衣を着せられ、断頭台にかけられた。
――処刑の瞬間、彼女が最後に見たのは、涙を流す王太子の隣で、確かに微笑んだ男爵令嬢の顔。
死んだはずのセシリアが次に目覚めたのは、冷たい解剖台の上。ただし、自分の遺体の中ではない。彼女の遺体を検分している、王国唯一の女性検屍官――変わり者と噂される伯爵令嬢オリヴィア・ネイの身体の中だった。
オリヴィアは呟く。 「……この死斑の出方、絞頸痕の角度。あなた、斬首される前に、既に一度殺されかけているわね?」
セシリアの意識は理解する。自分は、断頭台の前に別の方法でも殺されようとしていたのだと。
かくして、憑依された検屍官令嬢オリヴィアと、憑依した元悪役令嬢セシリアの奇妙な二人三脚が始まる。死体は嘘をつかない。残された微細な痕跡、毒物の残滓、不自然な傷。二人はそれらを論理的に読み解き、セシリアを陥れた真犯人と、王国の中枢に巣食う連続毒殺事件の闇へと迫っていく。
やがて明らかになる、「悪役令嬢セシリア」というレッテルそのものが、何者かに用意された筋書きだったという真実。
これは、殺された令嬢が、自らの死を検死することで真実を暴く物語。