あらすじ
『暗澹のディオス』から半世紀。
旧カリオス王国の地に興ったセルティア共和国では、地底王国跡に築かれた魔術機関が、失われつつある古代魔術の研究を続けていた。
若き研究者ブランシュ・コーンが心酔するのは、地底帰化研究の第一人者、メルビン・アベラール。
秀でた頭脳と魔術理論を持つその男は、不治の病に侵され、自らの研究をブランシュに託そうとしていた。
人はいずれ死ぬ。それが自然だと語るメルビンに、ブランシュは納得がいかなかった。
一方、ミーディア帝国との緊張が続くセルティア共和国では、軍人レミ・ルブランが地底帰化の軍事利用を目論んでいた。
老いない肉体、高い魔力、異形の身体。
かつて地底の民に与えられたその性質は、今や国家の兵器として求められていく。
救いたいのか、残したいのか。
敬意か、信奉か、あるいは支配か。
メルビンを失うことを拒んだブランシュは、やがて禁じられた変質へと手を伸ばす。