あらすじ
この物語は、婚約者のために生きてきた令嬢が、妹同然の侍女に支えられ、もう一度自分の望みを取り戻すまでのお話。
十年以上、公爵夫人となるための努力を重ねてきた伯爵令嬢コーデリア・アーエルス。
しかし婚約者のグリードは、サージェッツァ皇女へ求婚するため、一方的に婚約を破棄してしまいます。
「長い間、よくやってくれた」
その一言で、積み重ねてきた未来を失ったコーデリアは、何を尋ねられても「どちらでも構いません」としか答えられなくなりました。
食事にも、衣服にも、大好きだった物語にも、望みを示さない日々。
そんな彼女のそばに残ったのは、十五歳の侍女見習いリーンでした。
幼い頃、同じ青い髪と瞳を持つリーンへ、コーデリアは言いました。
「同じ色だから、私の妹よ」
答えを急かさず、髪を梳き、冷たい水を替え、好物のアップルパイを用意するリーン。
けれど三週間後、皇女との間に「行き違い」があったグリードが、当然のように復縁を求めて寝室へ押しかけます。
公爵令息と侍女見習い。
逆らってよい相手ではないと分かっていても、リーンは震える足で、もう一度コーデリアの前へ立ちました。
かつて守ってくれた姉を、今度は自分が守るために。
記すのは、わたくし、ラトゥナ・ケートでございます。