あらすじ
新川純一(しんかわじゅんいち)。高校二年生。
学業は普通。運動はそれなり。
趣味は、ある夢の為に、自作の曲やドラムの演奏動画を投稿サイトに載せること。
日課のように数年続けているが、平均5回再生と、一向に芽は出ない。
そんなある日は、いつものように、旧校舎の音楽室に置かれたドラムを使って、演奏動画を撮ろうとしていた時のこと。
自作曲の、ピアノのパート演奏が耳を打つ。
奏者は、同じクラスの女子生徒、宮坂波音(みやさかはのん)。
類稀なピアノスキルを武器に、幼少の頃からコンペで成績を残しまくっている神童。
「簡単ね」
ピアノは運指が全てだと語る波音は、バンドというものの演奏時に感じる、グルーヴ感やその場のノリ、雰囲気、というものが全く想像出来ない。
「なら教えてくれる? 君が」
そんなことを言い出す理由は、ただの息抜きの為。
大嫌いだけれど極めなければならないクラシックピアノに疲れ、羽を休められる行き場を探していたのだと言う。
やる気のない軽音部以外、学内でメンバーが集まる等とは思っていなかった純一。
夢の為、波音の言葉をのみ、バンド活動の第一歩を踏み出した。
失われた夢を追う一人。
存在証明の為に嫌いなことを極めようとする一人。
家庭の問題に悩む一人。
夢を追うあまり孤独を抱える一人。
諦めた夢を再び掴もうと藻掻く一人。
一癖も二癖も、抱えるものも、それぞれ沢山持った面々が集うこととなる不思議なバンド。
夢と現実。
理想と限界。
人付き合い。
10代の青少年らが直面する等身大の葛藤が日々を彩る、超青春バンド小説。