あらすじ
「正々堂々と戦って勝てるなら、苦労はしねえよ」
未開の魔境と王国を隔てる断崖絶壁――そこには、魔物を狩り、その素材で生き延びる『黒嶺(こくれい)の里』が存在した。
里の三男・イグニスは、周囲から「タレ目の無能」「腰抜けの落ちこぼれ」と見下されている。
正義感に溢れる長兄は堂々と大剣を振るい、頭脳明晰な次兄は華やかな術式で魔物を屠る。
一方でイグニスが選んだのは、気配を消し、毒を混ぜ、足元に罠を仕掛け、関節を正確に潰す――美学も誇りもない、徹底的に泥臭い「生存の殺法」だった。
「武士道? 騎士道? そんなもん、死んだ奴の言い訳だろ」
王国軍の陰謀と巨獣の襲来により、里の正統派の猛者たちが次々と倒れていく中、イグニスだけは冷徹に泥を舐め、影から仕留め続けていた。
血と毒の匂い、そして理不尽な世界で生き残るための執念。
美学を捨てた落ちこぼれ三男が、冷酷なサバイバル戦術で全てをハメ殺す暗躍生存録、開幕。