あらすじ
世界に突如現れた「ダンジョン」。
その内部には未知の存在と莫大な報酬が眠り、探索者と呼ばれる者たちが命を懸けて挑んでいた。
発見から数年が経った今も、その全容は解明されていない。
構造は変化し、出現するモンスターも一定ではなく、時には想定外の異変が起こる。
高校生・天城蒼は、クラスの底辺として扱われ、ただ理不尽に耐えるだけの日々を送っていた。
目立たず、逆らわず、波風を立てない──それが彼の生き方だった。
何も持たず、何も選ばないまま、日々をやり過ごしてきた。
だがある日を境に、蒼はその日常から外れる。
ダンジョンという非日常の中で、初めて「選ぶ側」に立つことになる。
そこにあるのは、綺麗な世界ではない。
命と報酬が直結し、判断ひとつで生死が分かれる現実。
積み上げた力がなければ、生き残ることすらできない。
強者は当然のように生き残り、弱者は何も残せず消えていく。
その単純で残酷な構造の中で、蒼は選び続けることになる。
誰を守るのか。
何が正しいのか。
どうすれば辿り着けるのか。
探索者として歩み始める中で、蒼は少しずつ変わっていく。
逃げることを選んできた少年が、自分の意思で前へ進むように。
だがその一方で、彼の中には消えない「違和感」が残り続けていた。
戦うたびに、その感覚はわずかに形を変えながら、確かにそこに在り続ける。
それが何なのかは、まだ分からない。
ただ一つ確かなのは──
この一歩が、もう元には戻れないものだということ。
静かに、だが確実に。
天城蒼の選択は、大きな波紋を広げていく。
──その先に待つものは、やがて世界の在り方を変える選択となる。