あらすじ
☆こちらは、カドコミ漫画原作コンテストにエントリー中の【漫画原作脚本】です。
【ログライン】
特撮オタク女子の真っすぐな「好き」が、夢を諦めた男子を再起させる話。
【あらすじ】
特撮オタクの大学一年生・白石ひなのは、幼い頃に見たヒーローに心を奪われて以来、掛け持ちバイトの稼ぎをすべて推し活に注ぎ込んでいる。彼女の一番の推しは、放送中の戦隊ヒーロー・カレイドレッド。
ある日のヒーローショーで演出トラブルが起きた際、レッドはアドリブで泣き出した女の子を助け、ひなのは「中の人」の演技に心を打たれる。握手会で「好きです」と伝えた相手こそ、同じ学部のクールな人気者・黒瀬夕夜だった。かつて劇団の看板俳優だった彼は、「どうせ顔だけ」と陰口を叩かれた直後の舞台で台詞を飛ばして以来、大勢の人の前では声が出なくなり、役者の道を諦めていた。この日のスーツアクターも、かつての伝手であるプロデューサーに半ば押し付けられた、その場しのぎのバイトに過ぎない。
自分の演技そのものを見てくれたひなのの言葉に、夕夜は捨てたはずの夢を揺さぶられていく。互いの正体を知らないまま距離を縮めていく二人。だがスペシャルショーのゲストとして現れた人気俳優・灰野風雅が、夕夜の過去を知っていることをほのめかす。
閉園間際の遊園地で倉庫に閉じ込められたひなのを、夕夜はスーツを着て助けに向かう。「中の君」への恋を自覚したひなのは、まだその正体を知らない。
【この先の展開】
ある日突然、人気俳優・灰野風雅が大学の講義室に現れる。なんと彼も同じ大学の学生だった! 彼女の推し活を知った風雅は、興味本位でひなのに距離を詰めていく。
風雅の軽妙なアプローチに、ひなのは戸惑う。憧れの俳優に選ばれる喜びと、それでも心のどこかで「顔の見えない“中の人”」を探してしまう自分。さらに、隣にいる同級生・黒瀬夕夜にも惹かれはじめている自覚が、彼女をますます混乱させる。二人の「レッド」と、一人の同級生。誰が本命なのか答えを出せずにいるひなのの態度が、かえって自信家の風雅の執着を煽ってしまう。風雅は夕夜を挑発し始め、同時に、夕夜が過去を精算し切れていない状況に苛立ちを覚えていた。同じ頃、夕夜は授業のペア発表でひなのと組むことになり、人前に立てない自分と正面から向き合わされる。
学園祭を目前に控えた夏、風雅の提案で、学内に臨時の学生演劇プロジェクトが発足する。夕夜は役者として、ひなのは舞台美術や衣装で裏方として参加。舞台に立てば、封じてきた症状から二度と逃げられなくなる。それでも夕夜は、ひなのの前で役者として立つことを選ぶ。稽古と合宿を通じて、二人の距離は次第に近づいていく。
しかし本番を前に、ひなのは夕夜がカレイドレッドの「中の人」だと知ってしまう。推しと、恋した相手が同じだった——混乱するひなのに、夕夜は初めて自分の過去を明かす。
学園祭当日。満員の観客の前で、夕夜は素顔のまま舞台に立ちトラウマを克服する。舞台に立った彼を見て、ひなのは「推し」としてではなく、黒瀬夕夜という一人の役者に恋をしていたのだと気づき、二人は想いを通わせる。
【キャラクター設定】
〇白石ひなの(19歳・大学1年)
特撮オタクの掛け持ちアルバイター。推しへの「好き」を隠さない、真っすぐで正直な性格。自分がオタクであることには引け目を感じているが、他人が好きなものを馬鹿にされることは許せない。可愛いと評判だが本人に自覚はなく、褒められ慣れていない。
〇黒瀬夕夜(19歳・大学1年)
元劇団員の大学生。劇団テンキズの最年少トップだったが、「どうせ顔だけ」と陰口を叩かれた直後の舞台で台詞を飛ばし、以来、大勢の人の前では声が出なくなった。一対一なら普段どおり話せるため、周囲はその事実を知らない。芸能からは足を洗ったつもりでいるが、当時の伝手であるプロデューサーに頼み込まれ、断り切れずにスーツアクターのバイトを続けている。顔も声も出さずに済むその仕事は、諦めたはずの舞台に触れていられる唯一の場所でもある。クールで塩対応と噂されるが、実際は面倒見がよく、困っている相手を放っておけない。
〇灰野風雅(19歳・大学1年)
カレイドレッド役でデビューし、今もっとも勢いのある若手俳優。爽やかな王子スマイルで誰にでも礼儀正しく接するが、その裏では他人の弱みを見抜いて煽る、傲慢な一面を持つ。夕夜の過去と実力を知っており、「才能がありながら逃げた男」として強い執着を抱いている。自身も顔で選ばれてきたという自覚があり、それゆえに夕夜の逃亡を許せない。
〇赤星朱音(19歳・大学1年)
ひなのの親友。ひなののオタク趣味には呆れながらも決して否定せず、恋愛面では誰よりも面倒見がいい。夕夜の気持ちにいち早く気づき、二人の仲を後押しする。ノリがよく行動的だが、ときどき余計なお節介が空回りする。
【世界観・用語】
〇煌めき戦隊カレイドレンジャー
現在放送中の日曜朝の特撮戦隊シリーズ。五人のレンジャーが「煌めきの力」で闇の怪人と戦う。ひなのの推しは赤の戦士・カレイドレッド(劇中の役名・朝日レイ/演・灰野風雅)。テレビ放送のほか、遊園地ハピネスランドでのヒーローショーが定期開催されており、テレビ俳優も出演する年数回のスペシャルショーはチケットが争奪戦になる。
〇劇団テンキズ
夕夜がかつて所属していた小劇団。若手の登竜門として業界内での評価が高い。最年少でトップを務めていた夕夜は、高校時代、本番中に台詞が出なくなる失敗を経験して退団した。
【作品のねらい】
テレビの中の俳優、スーツの中の人、そして大学の同級生——ひなのは三人の間で揺れ続けますが、そのうち二人は同じ人物です。知らないまま同じ相手に二度恋をしてしまうという、特撮オタクならではの四角関係が最大の読みどころ。
「好き」と伝えることが、誰かの人生を動かしていく物語です。